もったいないと思うこと

茶道はお中元、初釜、お歳暮と季節ごとのご挨拶があり

季節ごとにお金をお包みしてご挨拶しなければいけない風習がある。

 

この時期だとお歳暮でございまする。

「えっ!今は令和の世ですよ?」と言われても、それは「サッカーでバット使っちゃいけないのは何故?」と聞いているのと同じレベルの会話になってしまいます。

 

秋は初釜がありお歳暮があり年が明けたら年明けのご挨拶があるので

お金はジェットエンジンを積んだが如くに飛んでいくらしい。

 

稽古事、決まりごとの世界だから仕方ないけれど

こういう所が入門のハードルをもう一段上げているのも事実なんだよなぁ。

 

俺が茶道をやってて仕事終わりに稽古に行くと他人に言うと男性も女性も結構多くの人が興味を持ってくれるんだよ。

独り者は家に帰ってもやる事ないし仕事の他に好きな事が無い人は特にね。

 

ただ良い面と悪い面をちゃんと伝えないと相手に悪いから

こういう面も含めて稽古場探さないとねとアドバイスすると大体の人が嫌になるみたいだ。

 

俺は思うんだけど、つまらない毎日に嫌気がさしていて羨ましいと思うなら飛び込めばいいんじゃないと思うのよ。

 

確かに訳の分からない出費は痛いし、最初は先生の有難みなんか欠片程もわからなかった。

正直に言うと古臭い風習のぼったくりだと思っていたよ。

口には出さなかったけれどね。

 

だけど年数を重ねると先生のやってくれている有難みがわかってくるんだ。

鶴屋吉信のお菓子なんて素人が聞いても「え?なんなん?」の反応しかできないよ。

味も腰が抜けるほど美味いかと言われると腰は抜けるほどではないし。

 

俺も最初は鶴屋吉信で買ってきたと言われても、ふーんくらいで食べてた。

せいぜい名のあるお菓子屋さんなんだろうなくらいしかわからなかった。

 

稽古と年を重ねて行って知識も増えた時に初めてわかる。

その裏には先生が日本橋までわざわざ行って季節の主菓子を選んで買ってきてくれたというストーリーがあって、それは1年、2年じゃ気がつきもしない裏の世界の話だ。

知識が無いからそこを見落としているのは仕方ない部分はある。

けど、そこを拾える人間になると日常も変わってくる事を俺は経験している。

 

だから本当にもったいないなと心から思う。

茶道業界も損だし興味を持ってくれたその人も新しい世界を知る機会を失うし。

 

下っ端の俺が何を言っても仕方ないけど、もったいないよなって思う